移植
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当施設におけるMELD制導入後の脳死肝移植の現状
蛭川 和也篠田 昌宏長谷川 康高岡 千恵​尾原 秀明北郷 実阿部 雄太八木 洋松原 健太郎山田 洋平堀 周太郎田中 真之黒田 達夫北川 雄光
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 285_1

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抄録

背景: 2019年5月に脳死肝移植にMELD制が導入された。ルール改正が当施設症例に与えた影響を検証した。方法:2013年4月以降に移植実施/待機中死亡した93例(各36/57例)を対象に、ルール改正前後の各種比較を行った。結果:ルール改正前→後の実施/死亡例は、27/47→9/10例。改正前10点→改正後StatusⅠの実施/死亡は8/6→2/0例、待機日数は24/14→9/-日、MELDスコアは24/35→40/-、O/A/B/AB型は2/5/0/1→0/1/0/1例となった。改正前8点以下→改正後StatusⅡの実施/死亡は19/41→7/10例、待機は653/319→187/515日、MELDは22/30→29/26、O/A/B/AB型は1/4/3/3→5/1/0/1例だった。改正後MELD exception制を利用して登録した症例はPSC, BA,多発肝嚢胞各1例、HCC 2例(計5例)で、このうち同制で登録が可能となった症例はPSC, BA各1例(計2例)、移植実施症例はいなかった。結語:提供数増加、施設体制変化の影響は否定できないが、新ルールが高MELD、短待機、O型のStatusⅡの移植を増加させた可能性がある。StatusⅠでの不利益は経験していない。MELD exception制の影響は現時点で評価不能である。

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