2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 256_1
【背景】より「適切な」レシピエント選択基準とは何か、については議論があるが、海外では「待機中死亡率の最小化」が達成すべき一つの目標とされており、手段としてLung Allocation Score (LAS)やMELD score等が用いられている。日本でも脳死肝移植では2019年5月、待機日数重視からMELD scoreを基本としたレシピエント選択システムへ移行した。肺移植においても待機中予後の正確な把握・予測が望まれている。【方法】2014年3月から2020年6月までに、日本臓器移植ネットワークを通じ当施設で肺移植待機登録を行った患者185例を検討対象とした。待機登録日を起点とした生存解析を疾患別に行うと同時に、待機中予後に影響を及ぼす因子について登録時の情報を元に検討した。【結果】45例が脳死肺移植に到り、生体肺移植・渡航移植により待機中死亡を免れたのがそれぞれ4例、1例であった。一方6年の間に待機中死亡が41例発生、うち26例が待機開始後1年以内の早期死亡であった。特発性間質性肺炎(IIPs)57例(31.0%)、肺高血圧症41例(22.3%)、その他の間質性肺炎34例(18.5%)の3疾患群で全体の70%以上を占めた。IIPsは肺高血圧症と比較し有意に待機中生存率が低かった(p=0.0437)。待機中死亡に関連する因子として6分間歩行距離が挙げられた。