2010 年 34 巻 5 号 p. 386-397
パルプを結合材として成型した樹皮繊維成型体について,その吸音特性を検証するとともに,垂直入射吸音率の推定方法について検討した。まず,Delany-Bazleyの方法にならい,成型体の特性インピーダンスと伝搬定数をf/σ(周波数と空気流れ抵抗の比)の関数として求めた。さらに成型体の構成要素である樹皮繊維とパルプについて,それらの嵩密度と成型体の流れ抵抗の関係式を求めた。これらの推定式を用い,成型体の嵩密度と材厚から垂直入射吸音率を推定し実測値と比較した結果,良好な一致を得た。また,嵩密度や材厚を変化させた際の実測値や推定値から,樹皮繊維成型体の吸音特性を把握し,圧縮条件の設定指針を得た。