都市計画論文集
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北海道殖民都市における奇岩に向けた景観軸整備の可能性
安達 友広木曾 悠峻久保 勝裕
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2019 年 54 巻 3 号 p. 391-398

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抄録

城下町で多く見られる「山当て」の現象は、北海道の一部のグリッド市街地でも確認されている。その中には、遠方の山頂よりもはるかに市街地に近接した「奇岩」に向けて、景観軸を形成している都市がある。本研究では、GISを用いて奇岩への軸線を客観的に計測し、さらには軸線の形成過程を明らかにした上で、その後の軸線の整備実績から、現在の都市デザインにおける歴史的景観の位置づけを検証した。分析の結果、形成過程として、①地形的制約の中で自然発生的に形成された場合、②奇岩を見通しやすい位置に市街地そのものを配置した場合、③特定の道路を奇岩に向けて計画して市街地の基線とした場合、が確認された。また、奇岩は、市街地から間近に見えることに加えて、その特徴的な景観によって古くからアイヌらの象徴空間である場合が多く、市街地が形成された明治以降も地域のシンボルとして認知されている。そのため、奇岩周辺や道路沿いの整備が進められ、軸線が強化されている実態を明らかにした。

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