都市計画論文集
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特許データを用いた日本における技術的イノベーションの空間分析に関する研究
セクター・イノベーションシステムに着目して
竹内 啓對間 昌宏城所 哲夫瀬田 史彦
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 53 巻 2 号 p. 172-178

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抄録

イノベーションを効率的に起こすには「フェース・トゥ・フェース」のコミュニケーションを通して知識を複数の主体間で共有することが不可欠であることから、イノベーションは地理的に集中する傾向にあるとこれまで論じられてきた。本研究は日本国内の特許データを用いて、共同発明者同士のネットワークの空間的分布を調べた。また、分野毎の比較も行うため、機械・情報通信の二分野で分析をした。結果、以下の点が示された。1)発明者同士のネットワークは地理的に集中しているが、その空間的傾向は分野間で異なる。2)発明者間の時間距離が小さいときに共同発明が進みやすいものの、そうした傾向は近年弱くなっている。3)ネットワークは都道府県境や経済産業局の管轄区域を越えて広がっている。以上を総合すると、将来イノベーション・ネットワークはより地理的に広い範囲に広がる可能性があり、都道府県や各地方をまたいだ政策の必要性が示唆される。

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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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