皮膚の科学
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症例
タカサゴキララマダニの幼虫による多発刺咬症の1例
倉沢 友輔庄司 昭伸夏秋 優
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2015 年 14 巻 2 号 p. 67-72

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抄録

患者は大阪府豊能郡能勢町在住の72歳女性。2014年4月下旬,自宅付近の用水路に入り,草刈りをした。翌日,四肢・体幹にそう痒を伴う紅斑が出現し,その2日後に当科を受診した。初診時,四肢・体幹に紅斑,丘疹,小水疱が孤立性に多発し,その中央に虫体を認めた。皮疹部から50体以上の虫体を摘除し,タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)の幼虫と同定した。皮疹部の病理組織では真皮の血管周囲性にリンパ球を中心とした炎症細胞浸潤を認めた。塩酸ミノサイクリンの14日間内服および10%クロタミトン含有クリーム外用にて皮疹は軽快した。経過中,全身症状は出現しなかった。近年の山間部における野生動物の増加が,マダニ刺症の増加と関連すると推察した。(皮膚の科学,14: 67-72, 2015)

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© 2015 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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