関東東山病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-2879
Print ISSN : 1347-1899
ISSN-L : 1347-1899
栃木県におけるイネいもち病菌のMBI-D剤に対する感受性の遺伝子診断による検定1
毛 雪琴後藤 知昭川嶋 勇樹
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 2005 巻 52 号 p. 9-12

詳細
抄録

MBI-D剤に対する薬剤耐性イネいもち病菌は, 2001年の佐賀県での発生を初めとし, 九州, 西日本を中心にその発生が確認され, 東日本での発生拡大が懸念されている。そこで, 2004年, 栃木県で採集したイネいもち病病斑から単胞子分離した本病病原菌48菌株のMBI-D剤に対する感受性をPIRA-PCR法により検定したところ, 1圃場から採集した2菌株がMBI-D剤耐性菌と判定された。PIRA-PCR法により耐性菌と判定された菌株のシタロン脱水酵素 (SDH) 遺伝子の塩基配列は、対照とした佐賀県で発生した耐性菌の配列と同様で, 223番目の塩基がグアニン (G) からアデニン (A) に変異しており, 対応するアミノ酸では75番目がバリン (V) からメチオニン (M) へ変異していた。耐性菌が検出された圃場では, カルプロパミド剤が2000年から5年連続で使用されていた。なお, 2004年における葉いもちの発生は前年よりやや多めであったが穂いもちの発生は平年並で, MBI-D剤耐性菌による本病の被害は判然としなかった。

著者関連情報
© 関東東山病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top