2018 年 2018 巻 65 号 p. 91-95
イチゴのワタアブラムシとジャガイモヒゲナガアブラムシの防除対策として,コレマンアブラバチとナケルクロアブラバチの2種寄生蜂マミーと代替餌のトウモロコシアブラムシがオオムギ上で維持された状態で製剤化された「バンカー型製剤」を用いた試験を福岡県農林業総合試験場のイチゴ栽培施設と福岡県古賀市の現地イチゴ栽培圃場で実施した。試験場の試験では,コレマンアブラバチとナケルクロアブラバチのバンカー型製剤を組み合わせた試験区とコレマンアブラバチ単独のバンカー型製剤を対照区として設け,バンカー型製剤設置後にワタアブラムシとジャガイモヒゲナガアブラムシを放虫処理し,防除効果を比較した。現地実証試験では,オオムギ上でムギクビレアブラムシを増殖させた後にコレマンアブラバチ成虫を放虫する従来のバンカー法と防除効果を比較した。その結果,試験場内の試験では,試験区にてナケルクロアブラバチのマミーがイチゴ葉上で認められ,ジャガイモヒゲナガアブラムシに対する密度抑制効果が認められた。現地実証試験においても葉上でナケルクロアブラバチとコレマンアブラバチのマミーが認められた。このことから,コレマンアブラバチとナケルクロアブラバチのバンカー型製剤を組み合わせた防除法の有効性が示唆された。