【目的】本研究は,環境整備や支援機器の導入などの適切な転倒防止策を判断するために必要な独歩時の転倒頻度の予測手法を提案することを目的とした。
【方法】転倒との関係性が明らかとなっている転倒要因を調べ,転倒の内的要因と転倒の因果関係を,ツリーダイアグラムを用いて整理した。抽出した転倒要因を用いて,相対危険度に基づく転倒頻度の推定式を作成した。症状や状態,転倒回数の記録がある同一施設に入居する高齢者3 名から得られたそれぞれ2 年分の履歴を用いて転倒頻度推定手法の妥当性を検証した。
【結果】転倒要因として主要因となる4 つの項目である「障害物回避能力の低下」「バランス能力の低下」「行動頻度の増加」「失神」の指標を用いて独歩持の転倒頻度の推定式を作成した。6 例中5 例で頻度分類に基づいた転倒頻度を正しく推定することができた。
【結論】転倒要因の4 項目を指標とした転倒頻度の推定式を用いて,転倒頻度を予測する手法を提案することができた。