人間ドック (Ningen Dock)
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動脈硬化の危険因子としての血中総ホモシステイン濃度の検討 ― 頸動脈超音波検査との比較―
林 務林 正博小田 憲一久保 清史木村 緑
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2005 年 20 巻 4 号 p. 649-654

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抄録

目的:動脈硬化の危険因子の一つに高ホモシステイン血症が挙げられている.本研究では,未だ疾患を発症していない者を対象にして,ホモシステイン(tHcy)を含めた各種の動脈硬化の危険因子と,頸動脈超音波検査による内膜中膜複合体の最大厚(MaxIMT)との関連をPearsonの相関係数(Pcc)と重回帰分析(MulR)により検討した.方法:2004年8月1日から2005年3月3G日の間に関東労災病院健康管理センターの脳ドック受検者から脳血管障害,冠動脈疾患,高血圧症,高脂血症,糖尿病,閉塞性動脈硬化症の何れかの既往があるか,通院中の者,ビタミン剤を服用している者,喫煙者を除外した614名(男338名,528±10.4歳,女276名,54.3±9.4歳)を対象として,MaxIMTとtHcy,年齢,収縮期血圧(SBP),拡張期血圧,総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,空腹時血糖HbA1c,body mass index(BMI),リポ蛋白(a)をPccとMulRを用いて比較検討した.結果:MaxIMTを目的変数としたMulRの結果,関連があると考えられた変数はSBPとHbA1cとtHcyであった.tHcyは検討したその他の変数とのPccでは,明らかな相関は認められなかった.結論:tHcyは,検討した他の因子からは独立した動脈硬化の危険因子である.また,tHcyは基準値の上限付近,又は軽度の高値が持続する事で,動脈硬化を進展させる可能性が考えられる.動脈硬化の危険因子について検討する際には,tHcyも測定する必要がある.

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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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