日本物理学会誌
Online ISSN : 2423-8872
Print ISSN : 0029-0181
ISSN-L : 0029-0181
高エネルギー重イオン衝突による高電離2次イオンの成生 : 特長と応用
俵 博之戸沼 正雄
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 44 巻 10 号 p. 740-746

詳細
抄録

最近, 高エネルギー重イオンが原子・分子に衝突すると, 電子・陽子にくらべ, 何桁も多量の高電離2次イオンが生成されることが見いだされ, その生成機構の解明が進んでいる. 特長のひとつは2次イオンの反跳エネルギーが非常に小さいこと(eV/amu程度)で, 特に分光学的にはドップラー効果を最小限にすることが出来, たとえば, Ar17+イオンからのライマン・アルファ線のエネルギーが5 ppmの精度で測定され, 重イオンに対するQED効果も比較的容易に測定されるようになった. 本稿では, こうした重イオン衝突で生じる高電離2次イオンの特長, それを用いた応用について述べる.

著者関連情報
© 社団法人 日本物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top