日本物理学会誌
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2次元古典ハイゼンベルク系のソリトン(<特集>物性論におけるソリトン)
岩崎 洋一
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1981 年 36 巻 11 号 p. 793-798

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抄録

2次元古典ハイゼンベルク系は連続極限で, インスタントンと呼ばれるトポロジカルに安定なソリトン解をもつ. この系の低温での振舞はスピン波近似では原理的に説明できず, 低温でこのソリトンが重要な役割をはたす. このソリトンの効果を解析的に評価でき, T~0での相関距離としてξ=exp(1-π/2)/32√2exp(2π/T)T/2π〓0.0126exp(2π/T)T/2πを得る. パラメターを全然含まないこの式と, モンテカルロ法による数値結果ξ~0.01exp(2π/T)T/2πとは驚くべきよい一致を示す. またこのソリトンのぎょう縮による新しい型の相転移の存在が示される. この方法は, 摂動論の使えない場の珊論に対する新しいアプローチになっている. 素粒子論における"クォークの閉じ込め" の問題とも強く関係している.

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