原子核物理に始まったイオンの応用が物性工学や医学への応用にまで拡大し, それに伴って重イオン源の進歩も著しいものがある. 周期律表の総ての元素のイオンを十分なだけ得ることは難しい問題であるが, 重イオン源に対する詳しい検討が重ねられていくに従い, 徐々に解決の方向に向いつつある. 多価・重イオン源や負・重イオン源においては, 新しい機構, 新しい構造のイオン源が次々と開発され試験研究が盛んに行われつつある. このような種々の新しいイオン源の開発と応用をさらに進展させていくためには, イオン応用の源であるイオン源から出発したイオン物理工学に対する組織的な取組みが必要な時期に入っている.