マイクロ波を利用した殺菌技術は, 高粘度食品や固形物が入った食品を短時間に昇温できるため, 最も注目される技術である.しかし, 均一加熱されにくい (ランナウエー, エッジ効果など) 欠点がある.
蒸気雰囲気下でマイクロ波を照射すれば, 相変化の繰り返しにより食品の端部分に集中するマイクロ波エネルギーを奪って局部加熱が緩和される.電界分布を推定したが, 空気加圧下で端部分の電界が中央部より大きいのに対して, 蒸気併用下では緩和され均一に分布している.端部分へのエネルギー差は凝縮水が蒸発するときの潜熱と推定した.
以上はバッチ式であるが, 連続式でも確認した.連続式は, マイクロ波の浸透深さが2~3cmと小さいため熱水レトルトのように重ね置きができない.加圧容器内でコンベアー輸送しながらマイクロ波照射できる機械を開発し, 蒸気併用下でも局部加熱が緩和されることがわかった.