2007 年 42 巻 3 号 p. 200-207
2003年4月 (黄砂飛来時, 以下, 黄砂時と称す) と9月 (大規模な黄砂が飛来していない時期, 以下, 非黄砂時と称す) において, ロープレッシャーアンダーセンを用いて粒径範囲ごとに大気中の浮遊粒子状物質を採取し, 電界放射型走査電子顕微鏡 (FE-SEM) を用いた個別粒子分析により, 個々粒子の形態観察および化学組成分析を行った。 得られた化学組成値をもとに統計解析であるクラスター分析を行った結果, 粒子の種類は6分類された。 各分類ごとの黄砂時と非黄砂時における粒径別割合を明らかにした。 黄砂時には0.47~7.65μmの範囲で土壌由来の粒子の割合が1.2~2.5倍増加した。 また, 鉄など金属粒子の粒径別割合の最大値は非黄砂時に1.17μm~2.05μmであるのに対し, 黄砂時は0.47μm~0.67μmであった。 また, 黄砂時において, 金属粒子は粒径範囲0.47μm~0.67μmにおいて, 分析を行った全粒子の27%を占めた。 さらに, 土壌由来の粒子の表面を詳細に観察すると, 土壌粒子表面に球状鉄微粒子が付着している様子が観察された。