大気環境学会誌
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タイワンアカマツ苗の成長に対するSO2と土壌酸性化の単独および複合影響
楊 良伊豆田 猛青木 正敏戸塚 績
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1996 年 31 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

タイワンアカマツ (Pinus massoniana Lamb., 中国名: 馬尾松) 苗の成長に対するSO2と土壌酸性化の単独および複合影響を調べた。1993年6月6日から10月10日までの18週間にわたって, 硫酸溶液によって酸性化させた土壌 (pH4.5とpH3.7) に移植した苗に, 50ppbまたは, 100ppbのSO2を, 1週間に5日間, 1日当たり8時間 (9: 00~17: 00) 暴露した。
pH3.7区において100ppbのSO2を暴露した苗の針葉に黄白色の可視障害が発現した。SO2と土壌酸性化のそれぞれの単独影響による個体乾物成長の抑制が認められたが, SO2と土壌酸性化の複合影響は認められなかった。植物体内の元素分析の結果, pH4.5区に比べて, pH3.7区で成育させた個体の地上部と地下部のA1濃度および地下部のMn濃度が増加したが, 逆に地上部のCa濃度は低下した。
中国におけるタイワンアカマツ林衰退地における年平均SO2濃度は約100PPbであり, 土壌pHも4.0以下であるため, 本研究の結果より, 同衰退に大気中のSO2や酸性降下物による土壌酸性化が関与している可能性が大きいと考えられる。

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