接着歯学
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数種の接着システムの硬化後の抗菌性
今里 聡小林 恭子樽味 寿土谷 裕彦
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1995 年 13 巻 3 号 p. 125-133

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抄録

本研究の目的は、市販の接着システムであるLiner Bond II (クラレ)、Scotchbond Multi-Purpose (3M)、 Tokuso Light Bond (トクソー) ならびにImperva Bond (松風) の硬化後の抗菌性を評価することである。モールドに各システムおよびコンポジットレジンを用いて充填操作を行って硬化試料を作製し、阻止斑形成試験により抗菌成分の溶出性を調べた。また、硬化前の各構成材料をペーパーディスクに含浸させた試料による阻止斑形成試験を行い、硬化試料での結果と比較した。さらに、プライマーとアドヒーシブ複合体の重合率、および硬化試料の表面硬さを測定し、硬化性の評価も行った。いずれのシステムも、硬化前の各成分のほとんどに阻止斑の形成が認められたが、硬化試料ではTokuso Light Bondにおいてのみ阻止斑が形成され、他の三種では明瞭な阻止斑の形成は認められなかった。四種のうちでは、Tokuso Light Bondの硬化性が最も低く、硬化後の抗菌成分溶出性にはシステムの硬化性も関係するものと考えられた。

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