時事英語学研究
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批判的ディスコース分析における「言説と主体」の位相
中西 満貴典
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2008 年 2008 巻 47 号 p. 1-15

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抄録

本研究の目的は、批判的ディスコース分析 (CDA) における「言説」 (ディスコース) 概念の把握を、テクストのなかで表象される主体概念や、テクストを生産・消費する行為者の位相を考察することによって深めようとするものである。言説概念そのものは広大な射程を有し、また社会学系と言語学系では言説についてそれぞれ異なる概念を用いているだけでなくCDAにおいても必ずしも同一の定義を共有しているわけではない。それゆえ、言説概念を記述すること自体が拡散する議論になりかねない。しかし、CDAは観察の対象物が言説そのものであるゆえ、分析対象の言説概念にっいて、ある程度明示的にとらえようとする試みが必要であると考える。CDAは、権力作用やイデオロギーの問題を内包した社会的事象の考察を、言語分析の方法によって行うものであるが、言語に対する関心ほどにはテクストを生み出したり読解したりする主体である「人間」に関する議論が行われていない。本研究では、マテリアルな存在としてのテクストの書き手・読み手の言説空間における位置づけや、テクスト中で「主体」の概念がどのように形成されるのかにっいて、N・フェアクラフの言説概念図等を参照して議論していく。

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