日本舌側矯正歯科学会会誌
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成人AngleⅡ級1類叢生症例
飯田 賀代
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2011 年 2011 巻 22 号 p. 56-63

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抄録

患者は初診時年齢27歳7か月の女性で上顎前歯部の叢生を主訴として来院した。大臼歯関係は左右ともにⅡ級で、オーバージェット+7.5mmであった。セファロ所見からは、下顎が後方位でANB角+9.6°であった。上下歯列ともに前歯は唇側傾斜を呈していた。下顎骨が小さく骨格的要素のあるⅡ級Ⅰ類叢生症例と診断した。過大なオーバージェットを改善するためには、下顎の抜歯は回避した方が良いと判断されたが、下顎前歯は唇側傾斜しており、下顎のディスクレパンシー量は-5.2mmであったため、上顎左右第一小臼歯と下顎左右第二小臼歯を抜歯し、治療をおこなうこととした。加強固定にパラタルバーを使用し、顎間ゴムを併用しながらⅡ級の改善をおこなった。臼歯関係はⅠ級を確立し、叢生は改善された。動的治療期間は31か月であった。保定期間は3年10か月であるが、良好な咬合関係が得られている。

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