心臓
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第16回心臓性急死研究会 突然死を来した若年者特発性心室頻拍の1例
土井 孝浩酒井 孝裕西山 慶岩淵 成志横井 宏佳野坂 秀行延吉 正清
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2004 年 36 巻 Supplement3 号 p. 11

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抄録

突然死を来した若年者特発性心室頻拍の症例を経験したので報告する.
症例は17歳男性.10歳時に意識消失発作を繰り返し,近医にて心室頻拍(VT)と診断,β-blockerにて加療されていた.加療後はVTの改善は運動負荷・Holter心電図上認めなかったが,運動制限を加え,投与開始後は意識消失発作は出現しなかった.
本年2月アブレーションを含めた精査加療目的に当科を紹介された.
入院後β-blocker中止.EPSの事前にNeurally Mediated Syncopeの検索目的にてHead Up Tilt Testを施行,徐脈・血圧低下を伴う失神発作が誘発された.Holter心電図上はLBBB+RAD,HR 150のVTを認め,RVOTを起源とするVTが示唆された.次にEPS・アブレーションを施行,Isoproterenol負荷下にてLBBB+RAD,RBBB+NADの2種のVTが誘発された.これに対しclinical VTとしてRVOTを標的とし,PaceMappingガイド下にて焼灼した.
退院後の治療方針については本人・家族の内服薬への拒否感強く,すべて中止として経過観察となった.退院後は定期的に外来受診,特に症状もなかったが,4カ月後に心肺停止状態で家人に発見され,緊急搬送の上蘇生術施行も反応なく死亡が確認された.

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