心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第12回心臓性急死研究会 ミニシンポジウム III群抗不整脈薬と植え込み型除細動器による治療を行った心サルコイドーシスの1例
池主 雅臣目崎 亨青木 芳則鷲塚 隆阿部 晃田川 実笠井 英裕畑田 勝治中川 巌相澤 義房
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 32 巻 Supplement5 号 p. 148-152

詳細
抄録

症例は49歳男性.1998年11月より動悸と眩量を訴えるようになり,1999年4月近医で心拍数250/分の単形性持続型心室頻拍(VT)が記録された.心臓超音波検査で左室壁運動のびまん性の低下と,心室中隔基部の壁の菲薄化が認められた.テクネシウムシンチで心筋,ガリウムシンチで肺門部リンパ節に集積が認められ,経気管支的肺生検で非乾酪性壊死が証明された.以上の所見からVTは心サルコイドーシスに伴うものと診断した.自然発作のVTがdl-ソタロールで抑制されたため,電気生理学的検査は同薬内服下に施行したが,VTは誘発されずdl-ソタロールは有効と判定した.しかしプレドニゾロンの開始に伴って同一波形のVTが頻発するようになり,頻拍の停止と抑制のために一時ペーシングを挿入した.この時のプログラム電気刺激で自然発作と同一波形のVTを含む2種類の単形性VTが容易に誘発され,それぞれのVT中の頻回刺激でエントレイメント現象が確認された.本例は抗不整脈薬単独での治療は困難と考え,除細動器の植え込みを行った.
【結論】心サルコイドーシスに伴うVTの一部は興奮間隙を有するリエントリーによる.心サルコイドーシスでは,ある時点での電気生理学的検査の薬効判定の結果は,ステロイド治療や基礎心疾患の活動性によって修飾される可能性があり,長期的な有用性を予測する指標とならない.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top