心臓
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臨床 両側動脈管を伴った無脾症候群
吉儀 雅章門間 和夫中沢 誠安藤 正彦中島 弘道山村 栄司沢渡 和男今井 康晴
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1992 年 24 巻 11 号 p. 1249-1255

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抄録

過去5年間に両側動脈管遺残を認めた無脾症候群を3例経験した.3症例全てにおいて主肺動脈が欠如し,肺血流は両側の動脈管に依存していた.症例1は2歳女児で,右室性単心室,単心房,共通房室弁,総肺静脈還流異常を合併した.6歳まで自然経過を観察できたが, 動脈管- 肺動脈接合部の狭窄による低酸素症が進行したため,中心肺動脈形成術およびCentral shuntを行い症状は改善した.症例2は5歳男児,右胸心,心内膜床欠損,共通房室弁,右上大静脈,右大動脈弓の合併例であった.某院にて右Blalock-Taussig(BT)手術と左modified-BT手術を生後2カ月時に行われ,6歳時のPA indexは444であった.症例3は生後1カ月女児.右室性単心室,共通房室弁,両側上大静脈の合併例であった.左BT手術,および右modified-BT手術を行った.3例共に動脈管と肺動脈の接合部に狭窄があり特徴的な大血管の分岐のパターンを示していた.心内合併奇形の外科治療はそれぞれに困難な症例ではあるが,これらの症例に見られた大血管関係は無脾症候群の合併心奇形として1つのentityを成すと思われた.

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