心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第28回 心臓性急死研究会
イベントレコーダーが治療方針の決定に有用であった家族性心筋症と思われる1例
森 一樹坂部 茂俊前野 健一石山 将希瀬口 優堀口 昌秀高村 武志刀根 克之泉 大介世古 哲哉笠井 篤信
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_71-S1_78

詳細
抄録

 50歳男性. ペースメーカーを植込まれていた父親が50歳代で突然死している. 当院耳鼻科での手術中にモニター心電図上, 数秒のポーズを認め, 当科紹介. Holter心電図では無症候の40秒持続する単形性心室頻拍 (VT) を認めた. VTの頻拍周期は持続と共に約500msec程度から約300msecにまで短縮した.

 心臓電気生理学的検査では房室結節不応期が長かったものの, HV時間は正常であり, ISP負荷下の心室プログラム刺激でもVTは誘発されなかった. 冠動脈造影・心臓MRIは正常像であった.

 外来にてイベントレコーダー (Sorin社, SPIDERFLASH-t AFIB) を施行したところ, 動悸症状を伴った持続性VTに加え, 無症状の高度房室ブロックがドキュメントされたため, ICD植込みを決断した. 後日得られた心筋生検所見から心筋症が疑われた.

 EPSを含め侵襲的検査では有意な所見が乏しく一旦経過観察としたが, イベントレコーダーによって新たに高度房室ブロックがドキュメントされ, 躊躇することなくICDを植込むことができた1例であり, イベントレコーダーの有用性が示唆された.

著者関連情報
© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top