心臓
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第24回 心臓性急死研究会
Pilsicainide負荷後の右室流出路S1S2刺激で心室細動が誘発されたJ波型特発性心室細動の1例
吉岡 良造藤木 明阪部 優夫横山 恵理子
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2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_151-S2_155

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抄録

症例は25歳,男性.心電図異常,突然死の家族歴を認め精査目的に入院となる.心電図上I,aVL誘導にST上昇,aVL誘導にJ波を認め,夜間心電図変化は増強する傾向を示した.24時間Holter 心電図から求めたQT/RR回帰直線の傾きは0.08と低下していた.心臓電気生理検査ではコントロールでの右室心尖部・流出路よりの期外刺激では心室細動(VF) は誘発されなかった.その後pilsicainide(PLC) 25mg投与したが体表面心電図は変化しなかった.PLC投与後右室心尖部から期外刺激を行ったがVFは誘発されなかった.しかし,右室流出路から基本周期600msで220msの単発期外刺激を加えると,sine wave様の心室頻拍からVFが誘発された.
今回の症例では心基部にNaチャネルの異常を有し,同部位で期外刺激により局所リエントリーを生じ,VFが誘発されたと考えられる.また,PLC負荷にて体表面心電図は変化しなかったが,期外刺激に対する反応は変化しており,Brugada症候群とは異なる機序が想定される.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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