心臓
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症例 回復期に一過性の著明な好酸球増多を呈し良好な経過をとった急性心筋心外膜炎の1例
鈴木 浩秋場 伴晴芳川 正流大滝 晋介中里 満横山 新吉佐藤 哲雄林 正垣本 葉子矢崎 棗勝島 矩子
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1989 年 21 巻 3 号 p. 313-319

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抄録

症例は11歳の男児で胸痛,嘔吐を主訴に入院した.軽度の好酸球増多と心筋逸脱酵素の上昇がみられ,心電図で洞性頻脈,低電位差,陰性T波,胸部X線で心拡大,心エコー図で心膜液貯留を認め,心筋心外膜炎と診断した.心筋心外膜炎はしだいに軽快したが,好酸球数が徐々に増加し回復期には著明な好酸球増多がみられた,心筋心外膜炎の経過は良好で,好酸球数も自然に減少し2カ月後には正常化した.臨床経過から,L6Mer'sendocarditisあるいはhypereosinophilicsyndromeの軽症例の可能性がある.自験例における好酸球増多および心筋心外膜炎の原因は不明だが,著明な好酸球増多が一過性に回復期にみられたことから,好酸球の心毒性による心筋心外膜炎よりも何らかのウイルス感染などによる心筋心外膜炎に反応性に好酸球増多が出現した可能性が示唆された.

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