2019 年 61 巻 9 号 p. 1656-1662
症例は76歳,男性.腹痛にて受診し,CTにて胃石症およびイレウスと診断した.回腸末端に含気のあるモザイク状の腫瘤を認め,落下胃石の嵌頓によるイレウスが疑われた.結石嵌頓部位が回腸末端であったため,大腸内視鏡にて到達可能で,スネアを用いて結石を摘出することによりイレウスを解除した.胃内の残存結石に対しても2チャンネルの上部消化管内視鏡を用いて,スネアおよび鉗子で結石を破砕して摘出した.胃石によるイレウスは一般的に外科手術による摘出の適応となる場合が多いが,適切な画像診断で結石の位置を把握することによって,内視鏡的治療を選択して手術を回避した.