超音波検査技術
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学術賞-原著
Virtual Touch Quantificationによる肝硬度測定の有用性—B型慢性肝炎を対象に—
刑部 恵介市野 直浩西川 徹杉山 博子加藤 美穂朝田 和佳奈豆谷 果奈川部 直人橋本 千樹吉岡 健太郎
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2016 年 41 巻 5 号 p. 475-484

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抄録

はじめに:B型慢性肝炎の病態把握には線維化の程度を的確に診断することが重要である.B型慢性肝炎患者におけるVirtual Touch Quantification(VTQ)による肝硬度の有用性を検討した.

対象:2009年~2015年までに肝硬度測定を行ったB型肝炎患者339例(男性188例,病理組織診断:46例)を対象とした.

方法:肝硬度の測定は,右肋間走査にて計10回行い中央値(Vs; m/s)を用いて検討を行った.

結果:Vs値と各線維化マーカーを比較するとAPRI, ヒアルロン酸,PT, FIB-4, 血小板との間に有意な相関(ρ=0.578, 0.497, -0.486, 0.438, -0.336)を認めた(p<0.0001).各線維化stage別のVs値はF0–1 (n=10): 1.19 (1.00–1.59),F2 (n=18): 1.29 (1.20–1.59),F3 (n=11): 1.54 (1.39–2.24),F4 (n=7): 2.31 (1.94–2.69)であり,F4はF0–1, F2に比べ有意に高値を示した(p=0.0155, 0.0027).また各stageのカットオフ値はF2以上:1.16,F3以上:1.36,F4: 1.82であった.

考察:VTQによるVs値測定は,各種線維化マーカーおよび肝線維化stageと良好な相関関係があり,さらに肝線維化stageと最もよく相関しており,肝線維化評価に有用と思われた.

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© 2016 一般社団法人日本超音波検査学会
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