医療
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重症脳梗塞の治療
―減圧開頭術の適応について―
佐藤 勉続木 陽子泉 周雄
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1987 年 41 巻 5 号 p. 430-433

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抄録

脳主幹動脈の梗塞(特に塞栓)発症後, 数日以内に高度の脳浮腫・腫脹による脳ヘルニアで死亡する症例は決してまれではなく, 保存療法に加え, 減圧開頭術が必要となる場合がある. 進行性の脳浮腫に対する減圧開頭術が施行された自験例2例を含む経験より, この手術の適応条件につき検討した.
すなわち, 急激な脳腫脹による脳ヘルニアが予想されるもので, 臨床的には発症初期から, 脳局所神経症状に加え, 脳梗塞でありながら頭重, 頭痛, 嘔気, 嘔吐など, 脳圧の急速な亢進を示唆する自覚症状があり, CT上切迫ヘルニアの所見がみられるもの. 比較的若い(65才以下), 初回発作の患者で, 全身性疾患の合併が無いこと. 高令者は, 脳萎縮が脳腫脹に対する緩衝系となり, かつまた手術侵襲も大きいので, 手術によるメリツトは少なく適応にならない.

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