脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
末梢神経障害の病態と治療
最近の進歩
祖父江 元
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 30 巻 2 号 p. 115-120

詳細
抄録

末梢神経障害に関する最近の知見を脱髄性ニューロパチーを中心にレビューした. Guillain-Barré症候群 (GBS) については軸索障害型の存在が明らかになり, このうちの多くはCampylobacter jejuniの先行感染にもとづき, 抗GM1抗体の上昇を示す. GQ1b, GD1b, GM2などの糖脂質に対する抗体価の上昇と病態との関係が明らかにされて来ている. 治療法についてもガンマグロブリン療法, 血漿交換法などの有効性が確立されている. 一方慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー (CIDP) は脱髄性の疾患と考えられて来たが軸索障害が高度な例があり, このような例では脊髄前角細胞の脱落も高度である. 抗MAG, 抗SGPG抗体上昇を示す例が知られている. 治療法はステロイド療法, ガンマグロブリン療法, 血漿交換療法などいずれも有効性が確立されて来ている. 今後はこれらの治療法の適用範囲をどのように設置するかが重要である.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top