脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
神経学的に正常な小児のてんかんの予後について
宮嶋 智子栗原 栄二水野 美彦玉川 公子小宮 和彦
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 25 巻 1 号 p. 59-64

詳細
抄録

発症時に神経精神医学的に異常のないてんかんの小児175人を対象とし, てんかんの種類および発作の好発時間でグループに分け, 予後について検討した.その結果, 部分てんかん (107人) の方が全般てんかん (56人) よりも発作の予後がよく, 睡眠てんかん (62人) の方が覚醒てんかん (101人) よりも予後がよかった.睡眠てんかんの大部分 (95%) は部分てんかんで, それらは中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん (BECT) の36人およびそれ以外の23人とも予後が良好であった.反対に小児欠神てんかん以外の覚醒時の全般てんかんは予後が不良であった.最終追跡時に知能障害がみられたものは11人で, 発症が3歳以下で, 非定型欠神発作および/またはミオクロニー発作をもつものが多かった.てんかんの予後を考える上で, てんかん類型およびてんかん症候群の診断は当然のこととして, 臨床発作の好発時間帯を把握することは重要と考えられた.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top