1988 年 20 巻 6 号 p. 514-516
Menkes病の1例に活性酸素除去作用を有する酢酸トコフェロール投与を試みた.症例は生後3カ月で本症と診断され, 経静脈的に銅補充療法が行われた.血清銅およびセルロプラスミン値は正常化し, 髄液カテコールアミン代謝産物の異常も改善したにもかかわらず, 中枢神経症状の進行をきたした.酢酸トコフェロールの経口投与 (6mg/kg/日) を開始したところ症状進行前の状態にまで改善し, 有効と考えられた.このことより本症の中枢神経症状の発現には活性酸素が関与していると推測された.また, 酢酸トコフェロールは安全性が確認されており, 本症に使用すべき薬剤と考えられた.