2016 年 48 巻 6 号 p. 425-429
【目的】小児の心因性非てんかん発作 (psychogenic non-epileptic seizure ; PNES) の実態はよくわかっていない. 今回, 当センター神経科から心理外来へ依頼のあった症例について検討した. 【方法】対象は男児2例, 女児13例, 日本てんかん学会治療ガイドラインの分類に従い, ①てんかん発作が併存 (7例), ②知的障害を伴わず, てんかん発作が併存しない (7例), ③知的障害が併存 (1例) の3群に分け, 身体症状やその症状の誘因や原因と考えられる背景, 対応方法, その後の経過について検討した. 【結果】①群でてんかんと心因性非てんかん発作の両方とも治療終了できたのは1例のみで, 5例は転院, ②群ではてんかんの治療は全例終了, PNESについては症状の改善はみられるが終了は1例のみ, ③群はてんかんもPNESも治療終了できた. 【結論】②群は小児神経科医から, てんかんではない可能性についての説明が重要で, ③群は心理相談によって本人の発達について親の理解を促すことが重要ではないかと考えられた. ①群ではより対応の難しさがあるため, 小児神経科, 児童精神科, 心理などが協力して対応すべきと考えられた.