脳と発達
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原著論文
小児期発症の抗アクアポリン4抗体陽性症例の臨床像
福與 なおみ高橋 利幸萩野谷 和裕植松 貢土屋 滋藤原 一男
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2011 年 43 巻 5 号 p. 359-365

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抄録

 視神経脊髄炎 (NMO) の自己抗体である抗アクアポリン4 (AQP4) 抗体陽性の小児期発症18例の臨床像をまとめた. 発症年齢は3~15 (中央値13) 歳, 男女比は1 : 3.5であった. 抗AQP4抗体検査時の診断名がNMOであったのは7例 (39%) で, 残る11例のうち8例は多発性硬化症 (MS) であった. 初発症状は8例 (44%) が視神経炎のみで, 初発時MRI所見は, 脊髄や脳幹, 大脳白質病変など様々であった. 全例1年以内に再発があった. 最終観察年には14例に頭部MRI異常を認め, 9例が両眼または片眼失明, 9例は独歩不能な状態であった. 本抗体陽性の多くは重症であり, MSと治療法は異なるため, 小児例でも早期診断治療には抗体検査が重要と考えられた.

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© 2011 一般社団法人日本小児神経学会
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