日本化学療法学会雑誌
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Itraconazole内用液の単回および反復投与における薬物動態
丁 宗鉄山本 慧井上 晃一鳥居 慎一
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2006 年 54 巻 Supplement1 号 p. 6-17

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抄録

Itraconazole (ITCZ) は高い抗真菌活性と広い抗真菌スペクトラムを有する優れた抗真菌薬で, すでにカプセル薬が深在性真菌症, 表在性真菌症に広く使用されている。ITCZ内用液 (ITCZ-OS) は, 脂溶性のITCZを溶解補助薬 (hydroxypropyl-β-cyclodextrin: HP-β-CD) の添加により可溶化し, 吸収性を改善/安定化させた製剤として開発された。
今回, われわれはITCZ内用液を健康成人男性に100~400mgを単回投与, 100mgおよび200mgを12日間反復投与して薬物動態を検討した。まず, ITCZ内用液100mgを空腹時または食直後に単回投与して食事の影響を検討したところ, 空腹時に投与した時の血漿中ITCZ濃度は食直後投与に比べてCmaxは1.7倍, AUC0→∞は1.1倍高かった。次に, ITCZ内用液を空腹時単回投与で用量相関性を検討したところ, ITCZとOH-ITCZ (活性代謝物) はCmaxおよびAUC0→∞は用量に依存して増加したが, Tmax, t1/2は投与量により影響を受けなかった。また, 反復投与するとITCZおよびOH-ITCZの血漿中トラフ濃度は, 100mg投与時には投与9日目に, 200mg投与時には投与12日目にほぼ定常状態に達しており, 顕著な蓄積は認められなかった。ITCZ内用液投与によりHP-β-CD起因と思われる軟便が認められたが, 軽度であり臨床上問題ないと考えられた。ITCZ内用液はITCZカプセルと比較して早期に高い血中濃度に達し, 吸収が安定していることが確認された。

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