日本化学療法学会雑誌
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Telithromycinのin vitro抗菌力
嫌気性菌を含む標準菌株, 臨床分離株に対するin vitro抗菌カ
新井 進岡本 博樹野口 恵子牛場 薫矢口 理史
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2003 年 51 巻 Supplement1 号 p. 7-18

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抄録

Telithromycin (TEL) のin vitro抗菌力を, 標準菌株および臨床分離株を用いて検討し, マクロライド系抗菌薬のerythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM), roxithromycin (RXM) およびjosamycin (JM), ペニシリン薬のampicillin (ABPC), セフェム薬のcefaclor (CCL) およびニューキノロン薬のofloxacin (OFLX) と比較した。標準菌株: TELは好気性グラム陽1生菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有し, その抗菌活性 (MIC範囲: 0.006~0.1μg/mL) はEM, CAM, AZM, RXMおよびABPCと同等もしくはそれ以上であり, JM, CCLおよびOFLXよりも強かった。TELの好気性グラム陰性菌に対する抗菌活性は, OFLX, ABPCおよびCCLよりは弱かったが, AZMとほぼ同等であった, 、TELは嫌気性グラム陽性菌に対して広い抗菌スペクトルを示し, その抗菌活性 (MIC範囲: 0.006~1.56μg/mL) はすべての対照薬に比べ同等以上であった。臨床分離株: TELのStreptococcus pmumoniae, Streptococcus pyogenesおよびStreptococcus agalactiaeに対するMIC90は, いずれも0.05μg/mLであり, 既存のマクロライド薬に比べ同等~2,000倍以上の強い抗菌活性を示した。TELのMSSAに対する抗菌力 (MIC50: 0.1μg/mL) は, 既存のマクロライド薬に比べ4~16倍強かったが, MRSAに対する効果 (MIC50: 100μg/mL以上) は弱かった。Enterococcus faecalisおよびEnterococcus faeciumに対するTELのMIC90は1.56~625μg/mLであり, 既存のマクロライド薬に比べ強い抗菌力を示した。Haemophilus influenzaeに対するTELのMIC90は3.13μg/mLであり, EM, CAM, RXM, JMに比べ2~16倍小さく, AZMに比べ2倍大きかった。Moraxella catarrhalisに対するTELのMIC90は0.2μg/mLであり, EM, CAM, AZM, RXMおよびOFLXとほぼ同様であった。TELのPeptostreptococcus anaerobiusに対する抗菌力 (MIC90: 0.05μg/mL) は, すべての対照薬に比べ強かった。

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