2002 年 50 巻 8 号 p. 487-493
Chlamydia trachomatis D/UW-3/Cx株に対するtosufloxacin (TFLX) のin vitro抗クラミジア活性についてクラミジアの生活環の各時期における抗菌作用を, 封入体数, 封人体内のクラミジア粒子密度および感染性粒子数を指標に検討した。HeLa229細胞にC. trachomatis D/UW-3/Cx株を感染させ, 感染後0~6時間, 6~12時間, 24~30時間にTFLXあるいはofloxacin (OFLX) を1および3μg/mL作用させた。なお, TFLXおよびOFLXのC. trachomatis D/UW-3/Cxに対するMICはおのおの0.125, および0.5μg/mLであった。TFLXあるいはOFLXを3μg/mL作用させた場合, 薬剤無添加群 (control) に対する封入体数の比率は, 感染後0~6時間のTFLX作用群では43.4%, OFLX作用群では936%であった。感染後6~12時間のTFLX作用群では7.0%に, OFLX作用群では33.5%に減少した。感染後24~30時間の両薬剤作用群ではいずれもcontrolとの差異は認められなかった。薬剤3μ9/mL作用時の, 封入体内クラミジア粒子密度は, 感染後0~6時間のTFLX作用群では低下したが, OFLX作用群では低下が認められなかった。感染後6~12時間および24~30時間の両薬剤作用群ではいずれも密度は低下した。薬剤3μg/mL作用時の, controlに対する感染性粒子数の比率は, 感染後0~6時間のTFLX作用群では36%に減少し, OFLX作用群では減少しなかった。感染後6~12時間のTFLX作用群では0.7%に, OFLX作用群では15.1%に減少し, 感染後24~30時間のTFLX作用群では1.1%に, OFLX作用群では92%に減少した。1μg/mL作用時の封入体数, 封入体内のクラミジア粒子密度および感染性粒子数は, 両薬剤ともに3μg/mL作用時とほぼ同等であり, 添加濃度による差は認められなかった。TFLXは感染後のいずれの時間でもOFLXより強い抗クラミジア活性を示し, その理由は明らかではないが,) 一般的にキノロン系薬剤が作用しないとされる基本小体の時期に相当する感染後0~6時間作用群においても抗クラミジア活性を示した。