日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
Haemophilus influenzaeに対するcefcapeneの抗菌作用について
西村 欣也吉田 勇
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 46 巻 6 号 p. 210-215

詳細
抄録

経口セフェム薬cefcapene (CFPN) のHaemophilus influenzaeに対する抗菌力と薬剤濃度をヒト血中濃度にシミュレートした場合の殺菌作用における接種菌量の影響について検討し以下の成績を得た。
1) CFPNのH. influenzaeに対する抗菌力を同じ経口セフェム薬のcefpodoxime, cefteram (CFTM), cefaclor, cefotiamを対照薬に選びMIC測定を行ったところ106CFU/ml接種でCFPNはCFTMに次いで優れた抗菌力を示した。しかし, 108CFU/ml接種した場合は経口セフェム薬のすべてが薬剤高濃度まで菌苔が観察され判定困難であった。そこで, レプリカ法を用いた判定を行ったところCFPNは106CFU/ml接種時のMICと近似した結果を示した。
2) CFPNMIC測定における108CFU/ml接種直後の平板上の生菌数に比べ, 平板培養後の菌苔の生菌数はMIC (106CFU/ml接種) 濃度以上の平板では明らかに少なく, 増殖を抑制していることが認められた。
3) CFPN 100mgを1日3回投与時のヒト血中濃度動態にシミュレートしてH. influenzae (β-ラクタマーゼ産生株を含む4株) 105CFU/mlおよび107CFU/mlに作用させた際の殺菌効果を検討した。CFPNは優れた殺菌作用を示し, 105CFU/mlでは約10時間までに, 107CFU/mlでは約18時間までに菌は消失し, 有用性が示唆された。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top