日本化学療法学会雑誌
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呼吸器感染症に対するcefluprenamの基礎的, 臨床的検討
山田 保夫中村 敦児島 康浩武内 俊彦加藤 錠一吉友 和夫鳥居 正芳林 嘉光伊藤 剛
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1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 290-294

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抄録

新しいセファロスポリン系の注射剤cefluprenam (CFLP) について基礎的および臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
1) 抗菌力: CFLPについて臨床分離の7菌種181株に対するMICを測定し, ceftazidime (CAZ), flomoxef (FMOX) の成績と比較した。その結果, Staphylococcus aureusの抗菌力はCAZより優れていたがFMOXとは同程度であった。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Morganella morganiiではCAZ, FMOXより優れていた。Serratia marcescensではFMOXより優れていたが, CAZと同程度であった。Pseudomonas aeruginosaでは対照薬よりやや優れていたが, 十分な抗菌力を示さなかった。
2) 臨床的検討: CFLPを呼吸器感染症10例 (肺炎5例, 肺化膿症1例, 気管支拡張症2例, 慢性肺気腫の二次感染1例, 肺線維症の急性増悪1例) に使用した。判定不能の1例を除外した9例中, 著効2例, 有効5例, 無効2例であった。細菌学的効果では, 分離されたS.aureus 1株, Haemophilus influenzae2株, P.aeruginosa 1株はすべて除菌された。副作用では, 本剤によると思われる発疹と下痢が各1例にみられたが, 便培養にて有意な細菌を検出せず対症療法で改善した。臨床検査値異常としては, 末梢血好酸球数増加が1例, GOT・GPTの上昇と直接クームス陽性化が1例, GOTの上昇が1例にみられたが, 全例投与終了後には改善した。

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