CHEMOTHERAPY
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FK037の腎機能障害者における体内動態および呼吸器感染症患者に対する臨床成績
青木 信樹薄田 芳丸吉川 博子甲田 豊高沢 哲也若林 伸人林 静一新田 功本間 康夫北村 亘子
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1994 年 42 巻 Supplement3 号 p. 172-183

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抄録

各種腎機能障害患者12例に, FK037 0.5gを60分間で点滴静注した際の血中濃度と尿中排泄率を測定し, 体内動態に及ぼす腎機能障害の影響について検討した。腎機能障害の程度を軽度 (I群) 3例, 中等度 (II群) 3例, 高度 (III群) 4例, 透析導入例 (IV群) 2例に分類し, 重症度ごとに体内動態を比較した。IV群ではさらにFK037投与開始24時間後より透析を施行し, 本剤の透析性を検討した。その結果, 血中濃度半減期 (T1/2β) の平均値は1群3。80時間, II群4.87時間, III群8.15時間, IV群 (非透析時) 39.93時間と腎機能低下が高度になるに従い延長し, 血漿濃度曲線下面積 (AUC) の平均値もI群106.6μg・h/ml, II群148.2μg・h/ml, III群346.8μg・h/ml, IV群980.4μg・h/mlと腎機能低下に伴い高値となった。IV群における透析時のT1/2βの平均値は3.54時間と非透析時に比較し著明に短縮されており, 本剤の透析性は良好であった。24時間までの尿中排泄率の平均値は1群73.7%, II群66.0%, III群53.6%と腎機能低下に伴い減少した。
呼吸器感染症24例に対し本剤を使用し, 著効4例, 有効18例, 無効1例, 不明1例, 有効率95.7%の結果を得た。副作用は認められず, 臨床検査成績上1例で白血球減少, 2例でGOTの上昇, 1例でGOT, GPTの上昇, 4例でプロトロンビン活性度の低下を認めたがいずれも軽度のものであった。

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