CHEMOTHERAPY
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Tazobactam/Piperacillinの体内動態および臨床成績
青木 信樹薄田 芳丸甲田 豊高沢 哲也若林 伸人林 静一小浦方 洋一新田 功本間 康夫北村 亘子渡辺 京子
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キーワード: 吸器感染症, 体内動態
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1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 401-409

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抄録

各種腎機能障害を伴った高齢者の患者3例にtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) 0.5g/2.0gを60分間で点滴静注した際のtazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) の血中濃度と尿中回収率を測定した. 最高血中濃度は腎機能障害の程度 (Ccr: 43.1, 33.6および12.5ml/min) にかかわらず点滴終了直後にあり, その値に大差はみられなかった. 血中半減期 (T1/2β) はPIPCがCcr43.1ml/minの症例で1.59時間, Ccr33.6ml/minの症例で3.62時間, Ccr12.5ml/minの症例で5.36時間, TAZは各々1.54, 3.70, 5.18時間と腎機能低下が高度になるに従い延長し, 血清濃度曲線下面積値 (AUC) もPIPCでそれぞれ402, 676, 1263μg・h/ml, TAZではそれぞれ105, 184, 320μg・h/mlと腎機能低下に伴い高値となった. 24時間までの尿中回収率はPIPCが, それぞれ60.3, 45.1, 30.3%, TAZではそれぞれ81.2, 68.4, 47.7%で腎機能低下が高度になるにつれ減少する傾向であった.
呼吸器感染症14例に使用し, 有効13例, 無効1例, 有効率929%の結果を得た. 副作用は臨床的には特にみられず, 検査成績上1例で直接クームス試験の陽性化, 1例で白血球数の減少を認めたが, いずれも軽度なものであった.

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© 社団法人日本化学療法学会
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