CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
新エステル型経口セファロスポリン系抗菌薬S-1108の活性体S-1006の嫌気性菌に対する抗菌力
加藤 直樹加藤 はる田中 保知板東 香お里渡辺 邦友上野 一恵
著者情報
キーワード: S-1108, S-1006, 嫌気性菌
ジャーナル フリー

1993 年 41 巻 Supplement1 号 p. 40-49

詳細
抄録

新エステル型経口セファロスポリン系抗菌薬S-1108の活性体であるS-1006の嫌気性菌に対する抗菌力を他の経口セファロスポリン剤 (cefteram, cefotiam, cefaclor) と比較検討した。S-1006は参考菌株を用いた検討において幅広い抗菌スペクトラムを示し, 多くの菌種に対して6.25 μg/ml以下のMICであった。しかし, Bacteroides thetaiotaomicron, Bacteroides ovatus, Bilophila wadsworthia, Eubacterium lentum, Clostridium difficileにはMICが25μg/ml以上で抗菌力がやや弱かった。新鮮臨床分離株を用いた検討においては, S-1006は使用薬剤中最も強い抗菌力を示した。ことにPreuotella intermedia, Porphyromonas gingivalis, Peptostreptococcus 属, Clostridium perfringens, Mobiluncus spp., Gardnerella vaginalis に対してはMIC50は0.39 μg/ml以下で, 優れた抗菌力を示した。また, Bacteroides fragilis に対するMIC50値は3.13 μg/mlで比較的強い抗菌力が認められた。B. fragilis の産生するべーターラクタメースに対してはcefteramより不安定でcefaclorよりは安定であった。本剤連続投与によるマウス盲腸内でのC. difficile の異常増殖実験では, 投与終了1日目に高菌量のC. difficile が検出されたが, 7日目にはほとんど検出されなくなった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top