CHEMOTHERAPY
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Meropenemの腎障害患者における体内動態および呼吸器感染症に対する臨床成績
青木 信樹薄田 芳丸甲田 豊高沢 哲也若林 伸人林 静一新田 功本間 千鶴子渡辺 京子
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キーワード: 呼吸器感染症, 体内動態
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1992 年 40 巻 Supplement1 号 p. 366-382

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抄録

各種腎機能障害患者14例にmeropenem 0.59を30分間で点滴静注した際の血中濃度と尿中回収率を測定し, 腎機能の程度で軽度障害群 (I群) 5例, 中等度障害群 (II群) 4例, 高度障害群 (III群) 3例, 透析導入群 (IV群) 2例に分類し検討した。最高血中濃度は腎機能障害の程度にかかわらず点滴終了直後にあり, その値に大差はみられなかった。血中濃度の低下は腎機能障害が高度になるに伴い遅延し, 高度障害例, 特に血液透析導入例において極めて緩徐となった。血中濃度半減期がそれを裏付けており, I群1.70時間, II群2.53時間, III群6.55時間, IV群8.07時間と腎機能低下が高度になるに従い延長し, 血漿濃度曲線下面積 (AUC 240) もI群55.2μg・h/ml, II群104.0μg・h/ml, III群212.7μg・h/ml, IV群328.9μg・h/mlと腎機能低下に伴い高値となった。24時間までの尿中回収率は1群49.0%, II群48.5%, III群27.0%とIII群で明らかな低下を認めた。
呼吸器感染症60例, 皮下膿瘍1例に使用し, 著効2例, 有効53例, 無効3例, 判定不能3例, 有効率94。8%の結果を得た。副作用は1例で発熱・発疹がみられ, 検査成績上15例で肝機能異常, 2例で好酸球増多, 1例でBUNの上昇, 4例でプロトロンビン活性度の低下, 1例で直接クームス試験の陽性化を認めたが, いずれも軽度のものであった。

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