CHEMOTHERAPY
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DL-8280の一般薬理作用
小島 浩広橋 正章桜井 武男笠井 義雄明石 章
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1984 年 32 巻 Supplement1 号 p. 1148-1161

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抄録

DL-8280の薬理学的性状を知るため, 賭種動物を用いて一般薬理作用を検討した。
1. 中枢神経系; 300mg/kg, p. o. 以上の投与量で行動および症状観察ならびに自発運動において抑制作用を, 3mg/kg, i. v. 以上の投与量で脳波の徐波化を, 1,000mg/kg, p. o. でhexobarbital麻酔の増強を, 100~1,000mg/kg, p. o. の投与量で鎮痛抗炎症作用を示した。一方, 抗痙攣作用はなく, 条件回避反応, 体温ならびに脊髄反射に対し影響を与えなかった。
2. 呼吸循環器系; 無麻酔ラットの血圧, 心拍数に作用しなかったが, 麻酔イヌにおいて10mg/kg, i. v. 以上の投与量で, 呼吸数の増加, 呼吸振幅の低下, 血圧下降, 心拍数および左心室内圧は減少し, 股動脈血管抵抗は減少したが心筋収縮力は変化しなかった。
3. 自律神経系;瞳孔に対しては無作用であった。10~30mg/kg, i. v. の投与量でnorepinephrineおよびacetylcholineによる血圧反応を抑制したが, 交感神経節遮断作用は認められなかった。
4. 平滑筋; 摘出回腸ではほとんど作用がなく, 10-3g/mlの濃度で摘出輸精管のnorepinephrineによる収縮を増強し, 摘出気管を収縮させ, 非妊娠摘出子宮の自動運動を一過性に元進させたが, 妊娠子宮に対しては無作用であった。腸管輸送能, 胃粘膜に対し作用を示さなかったが, 3mg/kg, i. v. 以上の投与量で生体位胃腸管運動を抑制した。胃内容物排出速度は300mg/kg, p. o. 以上の投与量で, 胃液分泌は300mg/kg, i. p. の投与量で抑制された。
5. その他;前脛骨筋の収縮を30mg/kg, i. v. の投与量で軽度増強し, 300mg/kg, p. o. 以上の投与量で抗利尿効果を示したが, 局所麻酔作用を示さなかった。

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