2012 年 17 巻 1 号 p. 70-75
「暖簾づくり」ワークショップ(WS)の参加者ばかりでなく、不参加者も作品を介してコミュニケーションできる仕組みを新たに考案した。それを実社会において実験的に実施し、仮説1「まちづくり活動の成果を市民協働作品として制作及び展示することで市民のシビックプライドを育むことが可能である」と仮説2「作品を介して行われるコミュニケーションがWSへの参加者と不参加者の気持ちを繋げることが可能である」を得られた市民の評価に基づいて検証した。その結果、市民協働作品は市民の連帯感を向上させ、場所に対する愛着を醸成し、地区のプライドを向上させることが確認された。また設置された市民協働作品を介して、WSの内容である金光町の魅力、問題点、まちの将来像について、参加者・不参加者を問わず市民が対話する場面が生み出されたことが把握されたことから、仮説1と仮説2は支持された。今後、市民協働作品の内容を詳しく説明する情報交流アイテムをさらに充実させることで一層の効果が期待できるであろう。