日本顎関節学会雑誌
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連載解説
<臨床に有用な基礎知識>DC/TMDにおけるAxis Ⅱの概念とその利用法
石垣 尚一
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2018 年 30 巻 2 号 p. 168-176

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抄録

The Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(DC/TMD)のAxis Ⅱについて概説する。国際疼痛学会によれば,「痛みは,実質的または潜在的な組織損傷に結びつく,あるいはこのような損傷を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」と定義されている。このことからもわかるように,「痛み」を単に身体的な側面からのみ評価することはできない。DC/TMD Axis Ⅱでは,痛みの部位,痛みの強さ,顎機能制限,痛みによる障害,精神的苦痛,異常機能行動,不安,抑うつ,および併存する痛みの状態を,さまざまな評価インストゥルメンツを用いて評価することにより,痛みの多面的な評価,および痛みの強さや慢性化に影響する要因の特定に役立てるために考案された。評価インストゥルメンツは,その組み合わせにより,スクリーニング検査用と包括的評価用のセットが構成されており,臨床や研究上の必要性や目的に応じて選択できるようになっている。本稿を通してこれらの概念および評価インストゥルメンツの利用法についての理解を深めていただきたい。

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© 2018 一般社団法人 日本顎関節学会
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