静脈経腸栄養
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症例報告
胃瘻カテーテルによる十二指腸閉塞が誘因となった腸管嚢腫様気腫症の1例
甲原 芳範
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2009 年 24 巻 6 号 p. 1219-1222

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抄録

症例は73歳、男性。主訴は水様下痢。脳出血後遺症による嚥下障害のため2001年9月に胃瘻を造設した。2002年3月26日にチューブ型・バンパー型からチューブ型・バルーン型胃瘻カテーテルに交換した。3月30日から1日2回水様下痢が出現し、4月2日に腹部単純X線写真で異常影を指摘され入院した。腹部に圧痛なく腹鳴も正常であった。血液検査で炎症反応は軽微であったが、腹部CTでは上行結腸周囲の空気像と横隔膜下にfree airを認めた。胃瘻カテーテルの造影でバルーンが十二指腸内に迷入していた。カテーテルの位置の矯正と絶食、高カロリー輸液で病状と画像所見は改善した。5月1日より経管栄養再開したが、翌日より下痢が再発した。胃瘻カテーテルの十二指腸内への迷入と腸管周囲の気腫が再度認められ、この時点で胃瘻カテーテルのバルーンによる十二指腸閉塞に起因する腸管嚢腫様気腫症の再発と診断した。カテーテルをチューブ型・バルーン型からボタン型・バルーン型に交換し十二指腸内への迷入を予防したところ、再発を認めなかった。胃瘻カテーテルのバルーンによる十二指腸閉塞が誘因となった腸管嚢腫様気腫症は稀と考えられ報告した。

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© 2009 日本静脈経腸栄養学会
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