目的:わが国では災害時のトリアージとしてSTART法が普及している。しかし緑区分は傷病者数が多く,診療や観察が不十分となる。今回われわれは平成28年熊本地震において緑区分であった傷病者について調べ,院内START法の問題点とその対策を検討した。 方法:平成28年4月14日〜18日に熊本赤十字病院を受診し,START法を受けた傷病者を対象とした。トリアージタグ,当院の災害カルテ,電子カルテより緑区分の傷病者数,転帰,疾患内訳を抽出した。結果:921名が緑区分にトリアージされ,11名(1.2%)が入院した。疾患内訳は内因性傷病者が11名中8名(73%)であった。また帰宅予定であったが「帰宅待機エリア」から入院となった症例があった。結語:START法で緑区分となった傷病者にも入院症例が含まれていることを認識し,対応する必要がある。また「帰宅待機エリア」が災害時に有用な可能性がある。