生体医工学
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模擬循環装置の拍動発生機構の圧力-容積特性に関する実験的検討
大沼 健太郎住倉 博仁築谷 朋典高桑 涼巽 英介小嶋 孝一本間 章彦
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 181_1

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抄録

我々が開発した補助人工心臓(VAD)用耐久試験装置の拍動発生機構(心室部)は、小型閉鎖型チャンバ(SCC)の空気量と定量拍動ポンプのストローク長(SV)により拍出性能を調節可能な特徴をもつ。さらに、同機構を応用した循環シミュレータへの展開を図ってきた。本研究では、体循環を模擬した循環試験において、SCCを含む拍動発生機構の圧・容積関係から、心室の弾性ポンプとしての性質を模擬可能なSVとSCC空気量の範囲を検討した。心室部容積は、SCC水位と拍動ポンプのプッシャプレート変位から算出した各容量変化を合算して求めた。その結果、心室部の圧容積関係の一部は等容性収縮・拡張期を呈するループを示した(健常状態SV 70-80%, SCC 250-500 mL)。SCC空気量を増加しSVを減少した心不全状態で、駆出率: 67%から41%に低下、拡張期末圧・容積(EDP, EDV)は上昇を認めた。血液ポンプによる左室補助(LVAD)を想定した回路構成で、心不全状態からVADの補助流量(BF)を増加させたところ、EDP, EDVは低下し、ループ面積も縮小する傾向を示した。以上からSCCを備えた拍動機構は、弾性ポンプの性質を模擬可能かつ、LVAD下で左室への減負荷の程度を評価可能であると示唆された。一方、拍動ポンプの機構や空気の圧縮性で規定される制約のため、容積変化の再現には限界があると推察される。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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