生体医工学
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早期認知機能低下を検出するアプリケーションの妥当性:脳波空間解析を用いた検証
合田 明生志村 孚城村田 伸兒玉 隆之中野 英樹安彦 鉄平宮地 諒大杉 紘徳奥山 惠理子
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 114_1

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抄録

目的:我々は,早期の認知機能低下の検出を目的に,漢字色別テスト物語編(color Kanji Pick-out Test; CKPT)アプリケーション(以下,アプリ)を開発している。本研究の目的は,アプリ実施中の脳神経活動領域から,その妥当性を検討することである。方法:対象は健常若年男性25名(20.9±0.9歳)とした。1分間のコントロール課題を行った後,アプリ(課題1:Stroop課題を伴う読文,課題2:課題1で読んだ文章の内容想起)を実施した。課題実施中の脳波を計測(19電極部位,サンプリング1000Hz)した。課題1・2は,開始後1分間のデータを解析に使用した。解析には脳波空間解析プログラムsLORETAを用いて,コントロール課題と比較したアプリ実施中の脳神経活動(周波数帯域別:θ,α,β)の変化を検討した。結果:課題1で,前帯状皮質においてθ帯域活動の有意な亢進が認められた。考察:前帯状皮質は,Stroop課題時にθ帯域の活動が亢進すること(Hanslmayr,2008)が知られている。また,Stroop課題で評価される遂行機能は,前臨床期のアルツハイマー病の対象者において低下する(Harrington,2013)。本研究で観察された脳神経活動の変化は,課題内容に一致した妥当なものであり,本アプリの測定値は早期の認知機能変化を反映する可能性が考えられた。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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