生体医工学
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早期糖尿病における単一ネフロン糸球体濾過率に対するC-peptideの効果
仲本 博
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S170_2

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抄録

早期の糖尿病では過剰濾過のため糸球体濾過率(GFR:glomerular filtration rate)が増加している。SNGFR(single nephron glomerular filtration rate)とは、単一ネフロン糸球体濾過率を意味する。以前は生理活性を持たないとされていたC-peptideは、近年糖尿病(DM)合併症を保護するとの報告が相次ぐ。本研究の目的は、Controlラットと早期DMラットにおいてSNGFRの計測を試み、C-peptideの腎保護作用を再検証することである。実験には、Controlラット(n=5)とSTZで誘発した2週と6週のDMラット(n=12)を使用した。麻酔下に腎を露出し、Lucifer yellowを投与し原尿を染色した。尿細管を1本の円柱と仮定し、SNGFRを算出した。DMで、SNGFRは増加した(p<0.05)。C-peptideは、2週、6週モデルのいずれにおいても、SNGFRを30、40%減少させた(p<0.05)。早期の糖尿病性腎症においてSNGFRを容易に測定し、C-peptideの過剰濾過是正作用を尿細管で実証することができた。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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